「お姉ちゃんと一緒に」




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救出班は非常用ハッチからCエリアに進んだ。この区域の電源は一度落ちたが、すぐに予備電源に切り替えられて照明は回復している。

狭いハッチ部から通路に向けて、前衛のポイントマン役の隊員が銃器を掲げて進んでいく。すぐに報告がきた。
「二名発見!倒されています」
付近には敵も他の生徒達の姿も無いという。救出班を率いる戦闘教官は衛生隊員と共に奥に進んだ。
通路の中央に候補生と予科生が一人ずつ重なるようにして仰向けに倒れている。
大量の血が床に流れ、二人はそのなかで微動だにしていない。
ポイントマンは通路が前方でL字に屈折している部分まで進み、現場を確保していた。
衛生隊員は二人のバイタルサインをチェックし、直接確認をしたのちに報告する。
「だめです。二人とも死んでいます。」
アクアブルーのスーツの生徒は候補生のリナ。イエローのスーツの予科生徒はレナ。15歳と12歳の姉妹だった。
SR隊の標準装備のパナソニックスーツは上半身と肩を覆うプロテクターが付いている。
防弾仕様の強靭さをもつそのプロテクターが紙のように切り裂かれている。


戦闘教官のシェスメはリナの死体を見ながら恐れをいだいた。
一体敵は何者だろうか。ハッチで死んでいた予科生のみゆも切り殺されていた。
イエローのスーツのレナはヘルメットを脱いだ状態だった。スーツとの接続リングが破損しており、ロックを解除せずに無理に外されたようだ。
レナの死体の身体には外傷は無いが頭部の額に深い傷がある。
ヘルメットそのものには破損は見られない事から、敵はレナからメットを外して頭を狙ったようだった。
衛生隊員はペンライトでレナの頭部の傷を調べていた。 みゆとリナは刃物状の凶器だが、レナの傷は丸くえぐられ、二人との様子が違う。
傷口は7〜8cm、頭蓋骨をくり貫き、脳に達している。
「…脳がありません。 頭部からほとんど抜かれている様です。」
おびただしい血溜りのなかやその周辺にその部位を伺わせるものは残ってはいない。敵は何のためにそのような行為を行ったのだろうか。
死者はとりあえずそのままに、通路の奥の倉庫区域に進みながらシェスメは二人を思い出していた。
…仲のいい姉妹だったが、最後の時まで一緒だとはな。




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