ここは現在使われていない区画です。 今ではコロニーの人口も減ってきているので区画整理によって閉鎖されています。もちろん誰も住んでいません。 以前はここにパイロット養成校があって、コロニーの少年や少女が集められていたそうです。 私と同世代の女の子たちも。 コロニーのアーカイブで見つけた記録をたどり、ここに行き着きました。 コロニー内部からではなく、いったん「外」に出てエアロックから入ることができます。 空気与圧も電源もない区画。重力制御もありません。 誰もいないエリアで私はたった一人。 静まり返った通路やがらんとした部屋。 バブルメットの宇宙服に身を固めていますが、なにかあったらきっとお家には戻れない心細さ。 ちょっと怖いけど、次第に胸が高鳴ってきます。 あちこちとみて回るうちにそれははっきりとした興奮として私をとらえています。 私の見つけた記録では、ここで訓練生の女の子が遺体で発見された事がありました。 少女はパイロット用の宇宙服を着用したままの姿で、死因は窒息死。 検視の結果事故あつかいで処理されています。 この記録をみたときから私には確信がありました。 この子は私といっしょだったんだと。 全身を宇宙服に包まれると、すごくドキドキしちゃう性癖があるのだと。 そして、私と同じように気持ちのいい内緒の行為をおこなっていたのだと。 妄想かもしれませんが、私はもう何度もここにやってきて、彼女と自分を重ね合わせているのです。 |