Crazy MERMAIDs〜第1匹【LAMAgirl meets GASMASKgirl】〜
太平洋のど真ん中、どこかに浮かぶ、とある国のとある島。
「ポイントはこの辺り……っと、」
雲ひとつ無い穏やかな天候。陽の光が煌めきを放つ海を、小型船が優雅に通り抜ける。舵を握るのは、緑が基調のウェットスーツを身に纏う、エメラルドのような瞳と頭髪が印象的な娘。
「お姉ちゃん……私、逢いに来ちゃった……」
彼女の名は……エメラルダス=緑子(仮名。気に入らない時は好きな名前で呼んでね)。ダイビングショップの店員で、彼女もまたダイバーだ。
「もう一年か……あっという間だね」
緑子は写真の中の青髪の女性ダイバーに、微笑みながらこう話しかけつつ、ダイビングの装備を整えていく。彼女は慣れた手つきで足ヒレを履いて重りを巻き付け、酸素ボンベを背負うと、金魚鉢めいたバブルヘルメットを頭からすぽりと被った。
「骨ぐらい……拾ってあげなきゃ!!」
そう地上に言い残し、彼女は煌めく水面(みなも)のその奥へと入っていった。
「……よし、『彼女』が潜ったぞ。アンタも支度するんだ」
「えぇ〜っ、そんなぁ!?こんな危ない海にひとりぼっちで潜るなんて……」
「何を今更……ドンナとの着衣麻雀でコテンパンにされた分・ざっくり1,000万$の負債、好き者セレブの奴隷になって支払う覚悟が出来たのかしら?」
「…………う」
「潜ってお宝でも見つけてくれば、ドンナは借金を棒引きしてくれるって言ってるのよ。それにほら、そんな防具を身につけてるなら、スピアガンの1発や2発くらいで死にゃしないわよ?」
「はぁ……やっぱり行くしかないんですね?」
「そうこなくっちゃ!!仕事とはいえ付け馬にされた私の身にもなってよね」
その後ろを尾行していた1隻のクルーザーに気付くことなく……
彼女の姉・美碧(みさお)はプロのダイバーで冒険家だった。ひょんなことからこの海域に眠ると言われる幻の海底遺跡の地図を手に入れた彼女は、ダイビングでの遺跡捜索中にその古代文字で書かれた地図を遺して行方不明となった。クルーの懸命の捜索もむなしく、彼女の遺体が上がることは無かったと言う。
緑子の目的は、海底遺跡を発見することで美碧の無念を晴らすこと、もうひとつは、姉の遺骨を見つけて実家の墓で供養してあげることだった。
彼女が遺跡の眠るポイント目掛け、地図を頼りに潜っている時のこと。
「あれは……いったい!?」
海底に近付く緑子の瞳に飛び込んできたのは、思いがけない光景だった。
「すごい……これはまるで……」
そこに鎮座していたものはざっくり纏めると2つ。
ひとつは朽ちた石柱などが無造作に転がる海底遺跡、
そしてもうひとつは、スパイの秘密基地を彷彿とさせるような海底施設だった。
「海底にこんな世界があったなんて……」
なにやらすごいものを発見してしまった……といった具合の不思議な高揚感に緑子が包まれていると、
「……ひっ!?」
その周囲を、両手にスピアガンを握った2人のダイバーに囲まれていた。2人は黒のスキンスーツにダブルホースレギュレータの酸素ボンベを装備した女性で、その仕草は『命が惜しければその地図をよこせ』と言っているように感じ取ることができた。
「あ、あぅぅ……」
慌てふためきながらも咄嗟にナイフを握る緑子。だが相手とは距離もある、しかも1対2だ。運よくひとりを倒せたところでもうひとりを退けることが叶うだろうか?そもそも、緑子にそれだけの腕っぷしが備わっているのかどうかがそもそもの疑問ではあるが。
(怖いよぉ、お姉ちゃん……)
涙を溢れさせながらもナイフで威嚇を続ける緑子だったが、
「ひゃっ!?」
そのナイフに突如スピアガンの矢が直撃し、彼女は怯んで得物を落としてしまう。
ひらひらと海底に吸い込まれるナイフ、そして周りには2名の賊。このままじゃやられてしまう……緑子の全身に戦慄が走った……まさにその時だった。
「…………ガウっ!?!?」
さくりと何かが刺さる鈍い音がするや、賊のひとりが赤いモヤと多量の気泡を撒き散らしながら、ゴーグル越しの目を丸くさせながら沈降していくではないか。
青天の霹靂のこの事態に、錐のようなモノが飛んできた頭上を緑子と賊が見上げてみれば、そこには黒地のドライスーツに防弾防刃ジャケットと全身を防御するプロテクターを装着し、ダブルホースのリブリーザをガスマスクタイプのフルフェイスマスクを連結させ、さらにハーフタイプヘルメットを被り、その手に水中ライフルを握りしめた……
早い話が異様な出で立ちのダイバーがいた。
残った賊は焦りながらも標的を新手に変更し、スピアガンを放つ。
しかしこの重装備ダイバーは自らに迫る矢を腕部のプロテクターに這わせるようにして器用に軌道を変えてしまい、無力化してしまう。
そしてお返しとばかりに素早く水中ライフルの銃口を向け、賊の腹部へと鉛の矢を馳走した。
「ぶごっ?!?!ゴボコボ……」
そんな馬鹿な……とでも言いたげな気泡を海面へとばらまくと、彼女もまた相方の待つ墓所へとその身を横たえるのだった。
「い、いや、いやぁぁ……」
こうなると困ったのは緑子だ。自分もいよいよ殺されてしまうかもしれない、だが恐怖で体がこわばって泳ぐこともままならない。
首を横に振るしか抵抗策が浮かばない緑子に重装備ダイバーはゆ〜っくりと近付くと……
「…………へ?」
『落ち着いてください、あなたに危害を加えるつもりはありません』
と書かれた防水ボードを掲げた。これには緑子も思わず目が点になった。これをよそに、さらに重装備ダイバーは話を続ける。
『あれはかつて水中開発拠点に使われた基地です、あたしはこの施設の地図を持っています。あたしも切羽詰まった状態なんです、どうか協力させて下さい。詳しい話は基地内の宿直室でしましょう』
少なくとも、先ほどの賊たちに比べて敵意は認められなかった。緑子はひとまず、この重装備ダイバーの話に耳を傾けることを決めたようで、2人は基地へと泳ぎ出すのだった。
宿直室のハッチを機械を使い開けば、そこには酸素、保存食、風呂、ベッド……海底居住には十分な物資が揃っている。
「……ぷはぁっ!!すみません、驚かせちゃって」
「えっ、あなた……女の子!?」
安全地帯で明らかになった重装備ダイバーの中身。ガスマスクとハーフヘルメットを脱いだ先にあったものは、ダークブルーなショートボブの髪型をした、年頃も緑子とそう変わらなさそうな娘だった。
to be continued...
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