コックピット侵入



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第502SR隊養成学校第七期の候補生隊員は実習訓練をかねて前線に近い宇宙基地に配属されていた。この宙域での敵プロノイドの活動はほとんど観測されず、クラスターによる実技習熟のために度々利用されている基地だ。
配備されたクラスターはやや旧式だったが半ば訓練の任務には全く差し支えはなかった。

朝倉怜は十六才。養成学校も3年目の候補生だった。
その日の任務は平常の実習パトロールだったが、発進後4時間半に短いSOSを発信したのち消息を絶った。
「イダ基地 こちらパトロール704、朝倉です。トラブル発生、機体のエネルギーが急速にダウン、まもなく航行不能…」
直ちに救援機が派遣され、まもなく怜の乗ったクラスターは発見されたが、コックピット内で候補生は遺体となって発見された。
クラスターのコボットもシステムダウンしていたがメモリーは保存されており、最後の状況はのちの解析で判明した。

パトロール機を襲ったのはプロトエビノイド。おそらく第二形態。
クラスターの機体に取り付き、すべてのエネルギーを吸収後、コックピット内部に侵入してパイロットの怜を殺していた。

人間体以前のプロノイド、第六形態までの状態のものは全く理性を待たず、ほとんど本能のみで行動する。
性的衝動が非常に強く、捉えた人間の感覚、精神波を共有して楽しむ行為を常としていた。
捕らえられた怜は性的行為を受けていた。
性的喚起状態になった怜の脳内に侵入し、その快感を吸収されていたのだ。
数時間に渡り繰り返し絶頂に達した怜の精神は自律不能におちいり、生命維持装置のダウンによる低酸素、低温状態で怜は死亡した。

朝倉怜は第六世代クローン体であったため、遺体はそのまま放置されていたようである。




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