Crazy MERMAIDs〜【第3匹・うみねこと黒魔蝶】〜
前略母上様、エメラルダス=緑子です……
「ひゃあっ、また出てきた!?」
「任せてくださいっ!!(シュコー)」
私たち【4人】は今、迫り来るゾンビをひたすらに殲滅しているところです。
「ちょっとアンタ、しっかり撃ちなさいよね?」
「言われなくても!!(陸に上がったら、みんなまとめて逮捕してやるんだから……)」
「『あれ、この2人誰だよ?』って声が聞こえた気がするので、何が起きたのかをこれから説明しようと思いま……うひゃあっ!?」
はい、というワケでございまして地の文ですよー。ここからは緑子に代わりまして私のナレーションで、どうしてこうなったかをお届け致しますよ。
前回、海底施設内で水中スクーターを物色していたらゾンビに遭遇してしまった緑子とクーラ。二人は冷静さを取り戻すべく宿直室に戻り、海上で待つフーディエにこの状況を伝えたのだった……
「中にゾンビがいるなんて、聞いてないですよフーディエさん!?」
「私なんか食べられそうになったんだから?!」
したらば、
『なにソレ!?私も初耳よ……仕方ないわね。今から準備して、そっちに向かうから待ってなさい』
付け馬のフーディエも海底に降りる算段となった。しかし、二人はこの時、息を殺して宿直室に潜む【招かれざる客】の存在には一切気付いて居なかったのである。
(間違いない、この二人はアタシが追っている海賊の一味だわ)
金魚鉢とダイビング装備をそのままに、柱を背にして水中銃を構えるポニーテールの娘。彼女は沖田玲(おきたあきら)、海上保安庁からICPOに出向している刑事で、海の事件を専門に扱うことから通称【うみねこ刑事(デカ)】と呼ばれている。
玲はどうやら、緑子とクーラをお宝狙いの海賊だと勘違いしたようだ(あながち間違いでもないのだが)。
(でもどうしよう、相手は二人……待てよ、何でかは知らないけど随分慌てた様子だったな、こっちには武器もあるし、あっちの緑色の方がなんかどんくさそうだし、手っ取り早く拘束すれば、ちょっと強そうな黒い方だって……よし!!)
どうやら間違いだらけの覚悟を決めたらしい、玲は油断しっ放しな緑子目掛けて体当たりをぶちかまし、
「とりゃあっ!!」
「きゃっ!?」
じたばたする緑子を馬乗りで押さえ付け、
「緑子さん……うっ!?」
「ICPOの沖田よ、抵抗したら撃つんだから!!」
その上でクーラに水中銃を構え、二人の動きを封じて見せた。
「貴女達、この辺りを荒らし回る海賊カリュブデスの一味ね?大人しく縛について貰うわ」
なんとも勇ましい勘違いを見せている玲、
「ちょっと離して!?クーラちゃん、この人誤解してる!!なんか目が怖い!?」
「にぇぇえ待って下さい刑事さん、その人は冒険家の妹さんで、あたしはある企業の依頼でサルベージの下調べに来ただけ……」
誤解を解こうと必死な緑子とクーラ、
しかし招かれざる客は玲だけにとどまらなかったのだ。三人で寸劇を繰り広げていると、外で何かが破裂した音がしたと思うや部屋が地震でも起きたかのように激しく揺れた。
「うわっ、今度は何なのよ!?」
「にえっ、まさか機雷がっ!?」
「ひぃっ、私の華麗な逮捕劇を邪魔するなんて!?」
爆撃と地鳴りは繰り返され、ほどなくして安全だった室内にも冷たい海水が流れ出してきた。
「で、でも、私の華麗な逮捕劇が……」
「死にたいんですか(シュコー)、脱出が最優先です(シュコー)!!ほら、緑子さんも急いでヘルメット!!」
「う、うん!!」
一方その外では、第一匹の終わりにクーラに殺られたのと同じ出で立ちをした海賊達が複数、待ち構えていた。脱出した緑子を遺跡の地図ぐるみ捕らえ、邪魔なクーラは魚の餌に……と考えているのだろう。外での爆発は、水中爆弾によるものだった。
案の定、非常口の重い扉が開かれ、海賊達は一斉にスピアガンを放つ……
「備えあれば憂いなし!!(シュコー)」
……も、これは爆撃で剥がれた鉄板を盾に背後の二人を守ったクーラに阻まれ、
「もうイヤぁぁあ!!」
「正当防衛なんだから!!」
素早くLAMAガール二人がネイルガンと水中銃で応戦。
「グギャ!?」
「あぱぅ?!」
「ふぴぃ!?」
「あばざ?!」
まともに喰らった海賊四人が海の藻屑に。
スピアガンを棄てた残りの海賊達は、今度はダイバーズナイフを手に三人に襲いかかる。
玲はポリカーボネイト製のヘルメットを活かして迫る海賊に金魚鉢を押し当て、相手のレギュレータのホースを自分のナイフで切断してみせた。
「ふが、げぼ、ぼぁぁ……」
「あの二人も信用出来ないけど、こっちが本物の海賊みたいね」
そして盾を離したクーラは、ナイフを向けた海賊の手を掴んで素早くたぐると、
「ぐほっ!?な……で」
「化けて出ないで下さいよ?(シュコー)」
そのまま背後から自分に向かってきた敵にナイフをキラーパス、
「ぐぼがば、もが、ごがぁぁ……」
「こっちも必死なんですから!!(シュコー)」
ゴーグルとレギュレータをひっぺがした上で裸絞めを見舞い、相手を醒めない夢へと誘った。
「げひゃ!?」
「来ないでよぉぉ!?」
緑子は涙目でネイルガンを撃ちまくる。しかし彼女は不覚にも、海賊のひとりに背後を取られてしまう。
「えっ……ひっ!?」
そしてヘルメットが後ろに引っ張られる感触に襲われた。
「まさか、エアホースを!?やだ、やめて!!」
緑子を人質に取られては、賞金稼ぎも刑事も手が出せなくなる。ほどなくして、クーラと玲は海賊達に包囲されてしまった。
「緑子さんさえなんとかなれば……(シュコー)」
「どうしよう……海の中なら死んでもいいとか思ってたけど、これはお断りよ!?」
まさに絶体絶命……
その時、
「あらあら、随分楽しそうじゃない?」
ブラックシリコンのフルフェイスマスクを被ったダイバーが、水中スクーターに掴まりやって来た。
そのダイバーは水中スクーターのあるボタンに手をやると、
「「「「「!!!??!?!」」」」」
挨拶代わりと言わんばかりに、スクーターから次々に放たれる針を海賊達に見舞ってやった。
「緑子さんは返してもらいますよ!!(シュコー)」
「さぁこっちに!!」
「た、助かったぁああ……」
流れ弾が頭部に刺さり絶命した海賊と沈降しかけた緑子は、クーラと玲に引き剥がされて事なきを得た。
「ちょっとクーラ、何手こずってんのよ!?」
「あはは、すいませんフーディエさん……(シュコー)」
どうやらこのダイバーが、クーラの付け馬で黒魔蝶ことフーディエのようだ。
「カリュブデスの奴ら、厄介ね……一先ず作戦の練り直しよ、今度は研究員向けの宿泊施設に行きましょう」
こうして玲にフーディエを加えた四人は施設の研究棟へと向かうのだが、そこには新たな、かつ大きな脅威が待ち受けていたのである……
to be continued...
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