漂流者
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すでに生命維持装置は限界を迎え、ヘルメットに残されたエアだけが彼女に残されていた。
喘ぎ続ける度に、バイザーが白く曇る。満足な呼吸が行えるほどの酸素濃度は既に無い。
だらしなく開いた口からは唾液が溢れ、球のような汗がに浮かぶ。手が反射的にヘルメットをはずそうと動くが、外したところで真空の宇宙には彼女の欲する空気はどこにもないのだ。
やがて痙攣するように、声にならない断末魔の叫びをあげると彼女は失神した。