【とあるエースパイロットの休息】〜炎獄の棺〜




シズハ少尉の所属部隊はチベ級重巡洋艦を旗艦とし、攻勢に出た連邦の侵攻を阻む為、
ア・バオア・クーから離れた小惑星帯で防衛任務に就いていた。

シズハ少尉は愛機のリック・ドムを駆り、20機以上のMSを撃墜し連邦の奇襲部隊から恐れられていた。

しかし、度重なる戦闘でシズハも愛機も限界にきていた。

そしてメンテナンスと補給をする為、母艦へ帰還することとなった。




シズハ「ふぅ〜やっと帰ってこれた〜・・・いい加減ゆっくり寝たいわね・・・・はぁ〜・・・」


整備兵「シズハ少尉お疲れ様です!・・・・・・・・あれ?・・・シズハ少尉!少〜尉!!!」


シズハ「・・・・・・は、はい!?な、何ですか?」


整備兵「・・・ずいぶんお疲れのようですね」


シズハ「うん・・・大丈夫、少し眠いだけだから・・・」


整備兵「最近は出撃しっぱなしですもんね、あまり無理なさらないように」


シズハ「ありがと♪で、何かあったの?」


整備兵「少尉の機体なので知ってると思いますが・・・スラスター周りと間接部の消耗が激しくて一度バラさないといけません
ないので、かなりの時間が掛かってしまいます」


シズハ「そう・・・どれくらい掛かるの?」


整備兵「どんなに急いでも3時間以上は掛かるかと・・・・」


シズハ「3時間か・・・わかったわ♪それじゃここで少し仮眠を取ますね」


整備兵「えっ?お部屋へはお戻りにならないのですか?」


シズハ「うん、ここでいいわよ」

整備兵「ですがここじゃ整備の音がうるさくて眠れませんよ」

シズハ「大丈夫よ♪ここは落ち着くしヘルメットかぶってたら音なんて気にならないわよ♪」

整備兵「分かりました・・・では、おやすみなさい」


シズハ「おやすみなさい・・・・」



シズハが眠りについている間に機体整備は確実にこなされていった。

機体はハンガーに固定され、スラスターノズルや脚部、腕部が外され消耗したパーツの交換が進む

そして・・・整備も半ばの頃だった・・・

艦に強い衝撃が走り、それと同時にドック内に警報が鳴り響く


敵艦による砲撃がMSドックに直撃しのだ、みるみる炎に埋めつくされるMSドック内



整備兵曹「や、やべーぞ!少尉を起こさんと焼け死んじまうぞ!!」

整備兵「少尉!少尉!!起きて下さい!!」

シズハ「・・・スゥ・・・・スゥ・・・・」

整備兵曹「何やてっんだ!早く起こせ!!」

整備兵「それが起きないんですよ!」

整備兵曹「ハンマーでハッチぶっ叩けば起きんだろ!!」

整備兵「ええっ!?」

整備兵長「おい!ここは次期に火の海になる!早く退避しろ!!」

整備兵曹「うるせー!わーてら!仕方ねーなハッチをこじ開けろ!」

整備兵「それがハッチの開閉スイッチが壊れちゃって開かないんです!」

整備兵曹「な、何じゃとーっ!!?やっぱりハンマーじゃ!!!早くやれぇー!!!」

整備兵「は、はい!」


その時、何かの可燃物に引火したのか大きな爆発が起きた。
爆炎と熱風が整備兵達に迫り来る


整備兵「おわぁぁぁっ!!?」

整備兵曹「ぐわぁぁぁっ!!くそっ!!ここは、もう持たん!退避するぞ!!」

整備兵「えっ!?でも少尉が!」

整備兵曹「わーてら!だがワシらも無駄死には出来ん!仕方ないんじゃ・・・」

整備兵「・・・・・」

整備兵曹「それにリック・ドムの装甲ならコックピットにいれば助かるやも知れん!行くぞ!」

整備兵「・・・はい・・・少尉・・・・」


炎に追われ整備兵達は退避していく・・・
シズハは不完全なMSの中でぐっすり眠っていた。
自分に紅蓮の炎が迫っているとも知らず・・・

しばらくして、シズハは余りの暑さに目を覚ました。



シズハ「・・・う・・ぅうん・・・暑いな〜・・・・何よこの暑さは〜・・・・」



不自然な暑さにメインカメラをオンにした瞬間!シズハは地獄の光景を目にする・・・



シズハ「えっ!!?炎!!」


シズハ「ちょっ!なっ…何で!?このままじゃ焼け死んじゃう!!な、何とかしないと・・・」


シズハは脱出しようとMSを起動したが・・・


シズハ「えっ!?何これ!?動けないじゃない!」


しかし、シズハのMSはハンガーに固定されてる上に手足がない状態だった・・・


シズハ「くっ!(とにかくここから出ないと)」


シズハは脱出しようとコックピットのハッチを開けた瞬間・・・凄まじい熱風がノーマルスーツに身を包んだシズハの体に吹き付けた。


シズハ「きゃっ!?うわっ!!」


熱風に押し戻されるようにコックピット戻ったシズハは慌ててハッチを閉めた。


シズハ「はぁ・・はぁ・・・何か方法はないの・・・・」

シズハ「そうよ!無線なら・・・ん?・・・え?あれ!?」


―ザザーーーーーーーー・・・―

しかし、無線からはノイズ音のみが無情にも流れる・・・


シズハ「っ!?・・・う、嘘・・・こんなの嫌っ!!こんな場所で死にたくない!!」


動けないMS・・・無線も不通・・・外は炎の海・・・コックピットの内の温度は上昇していくばかり・・・まさに鉄の棺だった


シズハ「・・・暑いよぅ・・・はぁ・・はぁ・・はぁ・・・・私・・・このまま焼け死んじゃうのかな・・・・」


ノーマルスーツの中は汗が溜まり蒸し風呂のような状態になっていた。
湿ったスーツが身体に張り付き、ヘルメットの中も汗が溜まり首の辺りに溜まり始めていた
スーツの不快感に加え死ぬ程の暑さ・・・


シズハ「うぅん・・・あっ・・・スーツが気持ち悪い・・・はぁ・・はぁ・・暑い・・・はぁ・・はぁ・・力が・・・入らない」


気温は更に上昇していき、暑い感覚から熱いに変わり始める。
あまりの熱さにノーマルスーツを掻きむしり悶絶する。


シズハ「あっ、熱い!熱いよぅ・・・はぁ・はぁ・はぅぅっ!!いやっ!っーーぁ!くぅーーっ・・・うっ!
・・くぅっ!はぁ・・あうーーーっ!!っは・・あっ・・・」


シズハも機体も限界に近づいていた。
機体後部が小爆発をしたコックピットに振動が伝わる。


―ドーン!!―


シズハ「うっ!?っ!?な、何!爆発!!?」


同時にコックピットのコンソール類がスパークし始める。


ーボンッ!バチッバチッピシッー!―

シズハ「きゃっ!機体が持たない!!?」


MSという棺の中でこのまま焼け死ぬか・・・機体もろとも爆発で死ぬか・・・どちらかだった。

シズハは余りの熱さで意識が朦朧とし始めていた。


シズハ「はぁ・・はぁ・・もう・・・・死んじゃうんだ・・わたし・・・つまんない・・な・・・」


朦朧とするシズハに追い討ちとばかりに、ドック内の可燃物質が引火し、爆発で機体に衝撃が走る。


シズハ「うっ!くっ!・・・もう・・限界かなぁ・・はぁ・・はぁ・・はぁ・・・わたしが・・眠ってから爆発してくれないかな
・・・はぁ・・・眠いよ・・・目覚めたら・・夢だったら・・いい・なぁ・・・・」


シズハが意識を失いかけた時だった。
機体が今までより大きな爆発を起こし、意識を失いかけていたシズハを揺さ振る。

―ドーーーン!!!―

シズハ「きゃあ!うぅぅっ!終わりなの?」


次の瞬間
ドック内で大規模な爆発が起き、その衝撃波は機体を押しつぶさんばかりだった。
爆発の衝撃はコックピットのコンソールを砕き、破片がシズハの腕をかすめた。
痛みと灼熱の苦しみの中でシズハは死を懇願した。


シズハ「うぁあっ!!?あぁぁっ・・・いや・・いやよ・・・もう・・死なせて・・・・ぁぅ・・・ぅ・・・・」


そして、シズハの意識が消えいった時だった・・・
遂に旗艦は大爆発を起こしシズハのリック・ドムを爆炎と爆風が飲み込んだ。
その衝撃でコックピットは押しつぶされ、内壁の破片が無数にのシズハに襲い掛かる。
破片はノーマルスーツを紙切れのように貫通しシズハの体をズタズタに貫く・・・


―ドドドーーーン!!!バキバキバキ!バーン!!ブス!ブス!ドス!ズブ!―

シズハ「ぐぁあっ!っ!ぅっ!うぐぅっ・・・・ぅぅ・・・はぁ・・・・ぁ・・・・」


シズハの血がコックピットの壁面に飛散し蒸発する。
うなだれたシズハの口元から、血がポタリ、ポタリと落ちバイザーに血溜まりを作る。
シズハは破片によりシートに座ったまま磔なって絶命していた。
幸か不幸かシズハには痛みの感覚はなかったようだ。


やがて・・・
コックピットに炎がまわりシズハは愛機と共に運命を共にした。

唯一、幸いだったのは炎に身を焼かれる前に意識が無かった事だろう・・・・



終わり


[シズハ]
年齢 17
身長156cm
見た目は黒髪でショートボブの日系
戦争前はロングヘアーでした
家柄が良かったのか物腰が柔らかです
普段の振る舞いとは逆に戦闘では容赦なくコックピットを直撃させる冷徹さをみせます
戦闘センスの高さや、敵奇襲部隊の発見率が異常な事からニュータイプではと噂されていました

普段シズハはムサイ級から出撃していますが、メンテナンスの時だけ旗艦のチベ級へ戻ります



[整備兵]
ひたすらイイ奴

[整備兵曹]
見た目60歳・・・本当は50歳

[整備兵長]
普通のオッサン


まぁ〜勢いで書いたやつだから無理ある設定かもね(*≧m≦*)ププッ




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