ガトルパイロット




学徒動員で徴用された彼女…ミリア… は宇宙船舶の資格を持っていたためにMSのパイロットとして志願した…だが、戦況は悪化しておりMSを十分に支給されることはなかった…。
志願した学徒兵はあるものは陸戦隊…そしてガトルやジッコによる敵艦隊への突撃任務に充てられる者もいた。彼女はガトルのパイロットとして戦場に出る事になった。

彼女の配属された部隊は殆どが女学生の志願兵士達で士気は高かったが殆どが戦力としては期待されておらず、上層部は敵艦隊へミサイル攻撃部隊としての運用を決めた…

ほとんど特攻とも言える攻撃部隊に配属してしまった上にほとんど訓練も無いまま出撃を迎えてしまった彼女達は極限の心理的状態からか同性愛に走るものが多かった。
それが彼女達の結束をさらに強いものにしているのかもしれないが……。
「あっ…くっ……」
「あっ…ふぁっ」
彼女もまた同じ部隊の学徒兵と最後になるかもしれない逢瀬を楽しんでいた。
ノーマルスーツ越しにお互いを慰め合い…キスをした彼女達は二度と脱ぐことのないヘルメットを被るともう一度キスをした。
最後にバイザーを閉じれば、彼女達は互いに生身で触れることは出来なかった。ヘルメットのバイザー越しにお互いの生存を祈りあうと、彼女達はガトルへと乗り込んでいった。


ドロスから出撃した彼女達の部隊は護衛機も無く敵の艦隊へと突撃を敢行した。
敵の艦隊へと一矢報いるべく出撃した彼女達は運悪く敵のMS部隊に遭遇してしまった。
彼女達の乗るガトルには対艦用ミサイルと機銃しか搭載されておらず…敵のボールにさえほぼ無力であった。

「…後ろを取られた!援護を!…アアッ…!」
また一機仲間の機体が敵の餌食となりミサイルの誘爆で宇宙の塵となった…。やられたのは…"彼女"だった。
敵への憎しみにかられて反撃をしようにも、ガトルには敵のMSへの有効な対向手段は無く敵の艦隊へと突き進むしかなかった…。
悔しさのあまり涙が出る…。部隊は既に半数を失っていた。
…このままじゃ全滅しちゃう!…なんとか敵の足止めをしなきゃ…
「こちら、12番機!敵への攻撃の為に反転する!」
彼女は決意し、敵へのミサイル攻撃を敢行した。
「当たって!」
不意を突かれたのか敵のジムはあっさりと彼女の攻撃を受け大破した。
「やったわ!敵のMSを撃破!」
初めての敵の撃破に興奮し、油断したのが彼女のミスだった…。 敵のMSはお返しとばかりに彼女のガトルのコックピットへとシールドによる直撃を食らわせたのだ。
「あぐぅっ!?ガフッ…」
ガトルのコックピットには装甲と言えるものはほとんど無く彼女の身体はズタズタに引き裂かれた…
「ゲフッ!?アガッ…カッ…」
あまりの激痛に言葉を発することもできず、彼女は喘ぐことしかできない…。
緑のノーマルスーツは血で真っ赤に染まり、バイザーにも大きなヒビが入っていた。ヘルメットからエアが漏れているのかそれとも肺をやられたのか満足に呼吸ができない…。
敵のMSはそんな彼女の姿をモニター越しに眺めていた……。
血に染まったバイザー越しに敵のMSが接近してくるのが見える…。攻撃をする様子が見えず…彼女を捕虜か慰み者にするつもりなのだろうか…。
…こいつ…私をなぶり殺しに……くうっ…
散っていった仲間達の為にもこのままむざむざ殺られるわけにはいかない…
彼女は必死にあるボタンに手を伸ばしこう叫んだ…。
「ハアッ…ゲフッ…ジーク…ジオン!…」
敵のMSの接近と共に彼女は自爆スイッチのボタンを押し、彼女は機体と共に宇宙の塵となった。

彼女が命懸けで守ったガトル特攻隊は無事敵艦隊へと突撃を敢行し、4隻の戦艦を沈めた。
生存者は0であった。









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